小さな会社の新規事業、成功する人の考え方――“第2の柱”を立てる3つのルール

経営・ビジネス

「新しいことを始めたい」その気持ちは間違っていません

「今の事業だけでは将来が不安だ」

「別の収入の柱をつくりたい」

「小さくてもいいから、新しいことを始めたい」

こうした思いを抱く経営者はとても多いです。今の時代の変化を考えれば、その感覚は正しいといえます。「このままではいけない」と気づき、次の手を考え始めたあなたは、既に経営者として次のステージへの一歩を踏み出しています。

ただし――

新しい事業には、「なんとなく良さそう」という思いつきではなく 、“失敗しないための設計”が必要です。勢いで始めた新規事業が失敗する一番の理由は、「なぜそれをやるのか」「どうやって収益化するのか」が曖昧なまま動いてしまうことです。

本記事では、数多くの小規模経営者たちの挑戦から導かれた、「リスクを抑え、あなたの強みを最大限に活かす」“第2の柱”を立てるための、シンプルな3つのルールをご紹介します。

※『「なんとなく不安」を「確信」に変える!小規模企業の「立て直し」講座』シリーズの第3弾としてお届けします。

第1のルール:現事業の「強み」から離れない

多くの失敗例は、「全く新しいこと」に手を出してしまうことから始まります。

たとえば、慣れない土地で飲食店が雑貨販売を始めたり、建設業が全く別業種のネット販売に手を出したり――。

もちろん成功する可能性はありますが、小規模事業の場合、新しい分野に必要な「経験・人・お金」を全て一から揃えるのは時間的にも、資金的にも現実的ではありません。

成功する新規事業は、必ずと言っていいほど「あなたが既に持っている、お客様に選ばれている既存事業の強み」から生まれています。

たとえば、

  • 飲食店→自店のレシピを活かした“冷凍食品・弁当通販”
  • 建設業→現場知識を活かした“住宅メンテナンス定期契約”
  • 美容業→施術ノウハウを活かした“オンラインレッスン”

どれも「今の強み」を別の形にしているだけです。つまり、新規事業はゼロから作るのではなく、「既に持っている道具」を活かし、“強みを別のステージに載せる”ものなのです。

あなたの隠れた「強み」こそが、新しい挑戦の初期費用を大幅に下げてくれる、最大の財産になるのです。

第2のルール:数字で“採算”を先に考える

新しい事業というと、どうしても「面白そう」「やってみたい」という感情が先に立ちます。

しかし、最初に考えるべきは“叶えたい夢”ではなく“現実的な採算”です。

なぜなら、新規事業のほとんどは、最初の半年〜1年はお金が出ていく一方だからです。採算ラインが見えていなければ、途中で不安になり、撤退すべきか続けるべきかの判断ができなくなってしまいます。

失敗しないためには、最初に「ダメだった場合の最低ライン」を決めておくことが重要です。これは新規事業への「保険」のようなものです。

たとえば、

  • 初期投資はいくらまでなら出せるか?(万一、失敗しても大丈夫な投資額はいくらか?)
  • 月にいくら売上があれば赤字・ただ働きにならないか?
  • どのくらいの期間で黒字化できそうか?(損益分岐点を超えられそうか?)

この3つをシミュレーションしておくだけで、無理のない挑戦ができます。

小規模経営において「情熱」よりも先に必要なのは、不安を解消するための、シンプルな採算の計算です。“数字が見える挑戦”こそ、失敗を恐れることなく、成功確率を高める一番のポイントなのです。

第3のルール:小さく始めて、確かめながら育てる

大きな準備をして一気に始めるよりも、「いきなり完璧を目指さない」ことが大切です。まずは小さく試して、お客様の反応を見て、生の声を聞きましょう。

多くの経営者が、「どうせやるなら本格的に」と考えがちですが、小さな事業ほど「リスクを最小限に抑えつつ、実験しながら育てる」方が確実です。

たとえば――

  • まずは試作品やテスト販売をして、「こんな商品が欲しかった」というお客様の声を聞く
  • 費用をかけずにSNSや既存顧客への案内で反応を確認する
  • 好評なら次のステップとして冷静に拡大してゆく

このように段階的に検証することで、ムダな投資を避けられ、リスクも小さくなります。

うまくいく新規事業は、最初から全てが揃っているわけでなく、また、最初から完璧を目指していません。

「小さく試して、早く学び、お客様の声に合わせて少しずつ形を整える」――それが一番の成功法です。この「検証と修正」の繰り返しこそ、あなたの事業を長く安定させるための大切な筋力になります。

新規事業を成功に導く“思考の順番”

新しい事業を考えるときに、多くの方は次のように考えます。

「何をやるか」→「どうやるか」→「誰に売るか」

しかし、実際に成功している人は順番が逆です。

「誰に売るか」→「何をやるか」→「どうやるか」

つまり、最初に“お客様像”を明確にすることが先なのです。

誰に、どんな価値を提供するのかが明確であれば、事業内容は後からいくらでも調整できます。つまり、新規事業の目的は「新しい商品を作ること」ではなく、「今のお客様の“隠れた困りごと”を解決すること」なのです。

「新しいこと」は怖くても、「考え方」を変えれば怖くない

新しいことに挑戦するのは、誰しも不安です。しかし、成功している経営者が皆、特別な才能を持っているわけではありません。

違いは、「始め方」と「考え方」です。

  • 強みを活かす
  • 採算を先に考える
  • 小さく試す

このシンプルな3つのルールを守るだけで、新しい事業は“一発勝負の賭け”ではなく“着実に勝てる戦略”になります。経営において、新しい挑戦は「現事業の終わり」ではなく、「次の安定を生み出す投資」です。

勇気よりも、失敗しないための設計。

勢いよりも、不安をなくす“見える化”。

あなたがこれまで培ってきた経験と強みの中から、必ず“第2の柱”は見つかるはずです。

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